1. 概要
GSJ 地質年代LODは、地質学における年代区分(代・紀・世など)の体系を、 階層構造・境界年代(Ma: 百万年前)・表記情報・識別子体系として整理し、 機械可読なRDFおよびJSON形式で公開する地質年代知識基盤データセットです。
本データセットの特徴は、従来は文献や表の中で人が読むことを前提としていた地質年代体系を、 機械が検索・参照・再利用できる共通参照基盤として公開した点にあります。 地質年代は、地質図の解釈や地史の整理、研究成果の記述などに不可欠な概念ですが、 その多くは文献中のテキストとして記述されるにとどまり、語彙の統一、データとしての参照性、 他のデータセットとの連携に課題がありました。 本データセットでは、地質年代を一貫した識別子で参照可能なデータリソースとして提供することで、 地質情報における「時間軸LOD」の共通参照基盤として利用できるように設計しています。
2. 背景とねらい
日本地質学会が公開している「地質系統・年代の日本語記述ガイドライン」は、 日本語で地質年代を記述する際の用語や表記の指針を示した文献であり、 我が国における地質年代記述の実質的な標準の役割を果たしています。 一方で、このガイドラインはあくまで文書として提供されており、 年代区分の階層構造や境界年代といった情報は、機械可読なデータとして利用しにくい状況にありました。
研究成果や地質図、各種データベースの中で地質年代を横断的に扱うためには、 ガイドラインに基づく年代体系を、識別子・階層構造・境界年代値とともにデータ化し、 参照可能な形で公開することが重要です。 本データセットでは、ガイドラインの内容をもとに年代区分を構造化し、 LODとして提供することで、地質図凡例LOD(ZFK)を含む各種地質データとの連携や、 教育・研究における再利用を容易にすることを目的としています。
3. データセットの構成
3-1. 主なエンティティと属性
地質年代LODでは、代・紀・世などの年代区分をエンティティとして定義し、各エンティティは次のような情報を持ちます。
- 識別子(URI)
- 日本語名称・英語名称
- 上位・下位の年代区分との階層関係
- 境界年代(Ma: 百万年前)および誤差などの補足情報
- 出典情報など
これにより、各年代区分を安定したIDで参照できるだけでなく、 階層構造や境界値に基づいた検索やフィルタリングが可能になります。
3-2. RDF/JSONでの提供
各年代エンティティはHTTP URIを通じて取得可能であり、JSONおよびRDF形式で提供しています(拡張子指定またはコンテントネゴシエーションによる)。 代表的な年代区分の例やスキーマについては、後述のAPI/リソース一覧およびSwagger UIで参照できます。
3-3. ZFK(地質図凡例LOD)との連携
本データセットは、ZFK(GSJ 地質図凡例LOD)における年代要素の参照基盤としても利用されています。 地質凡例に含まれる年代情報は、地質年代LODの識別子を用いて参照されるため、 地質図幅をまたいだ年代的な比較や、他の地質データとの時間軸に沿った統合が行いやすくなっています。 このように、地質年代LODは、地質図・凡例・研究データを結びつける「時間軸のハブ」として位置づけられます。
4. データおよびAPIへのアクセス方法
4-1. データセット説明ページ
地質年代LODの全体構成やメタデータ、対象とする年代範囲などの詳細については、 次のデータセット説明ページで紹介しています。
・データセット説明ページ: https://gbank.gsj.jp/ld/dataset/geoltime/
4-2. API/リソース一覧
各年代エンティティのURIや一覧取得・検索のためのAPI仕様は、Swagger UIを用いて公開しています。 代表的なリクエスト/レスポンス例についても、OpenAPI で参照できるようにしています。
・API仕様: https://gbank.gsj.jp/ld/dataset/geoltime/api.html
・リクエスト/レスポンス例(Swagger UI): https://gbank.gsj.jp/ld/dataset/geoltime/swagger.html
4-3. 典型的なリソースの例
個々の地質年代(紀や世など)を表すリソースは、次のようなURIで参照できます。
- 特定の年代区分のリソース:
https://gbank.gsj.jp/ld/resource/geoltime/item/{age_id}
例:地質年代「古第三紀」 [GEOAGE_114000000]
HTML: https://gbank.gsj.jp/ld/resource/geoltime/item/GEOAGE_114000000.html
JSON: https://gbank.gsj.jp/ld/resource/geoltime/item/GEOAGE_114000000.json
RDF: https://gbank.gsj.jp/ld/resource/geoltime/item/GEOAGE_114000000.rdf - 地質年代データのトップ階層を表示:
https://gbank.gsj.jp/ld/resource/geoltime/item/GEOAGE_000000000.html
5. 利用イメージと応用例
地質年代LODは、研究者だけでなく、地質図データの整備担当者、教育用途の利用者、WebGISやLODの開発者などにとっても、 年代情報を共通の識別子で扱いやすくすることを意図して設計しており、次のような場面での利用を想定しています。
- 地質図や凡例情報(ZFK)に付与された年代をもとに、特定の年代区分に属する地質単元や分布を抽出する。
- 研究データや論文DBなどに付与された年代情報を、共通の識別子体系にマッピングし、横断検索や統合解析に利用する。
- 教育用コンテンツや教材LODにおいて、年代軸に沿って地質イベントや化石・岩石試料を整理する際の参照軸として用いる。
- 将来的には、国際的な地質年代標準や他分野の時系列データとリンクし、時代区分をまたいだ統合的な時系列分析の基盤とする。
このように、地質年代LODは、地質学における共通の時間軸を提供することで、 多様なデータセット間の結合や比較を支える「参照フレーム」として利用できるように設計しています。
6. ライセンスと出典
本データセットは、産業技術総合研究所 地質調査総合センターウェブサイト利用規約 (政府標準利用規約(第2.0版)準拠)のもとで公開しています。 利用条件の詳細については、次のページをご参照ください。
・利用規約:
https://www.gsj.jp/license/license.html
本データセットにおける地質年代体系は、日本地質学会が公開している 「地質系統・年代の日本語記述ガイドライン」に示された内容を基礎情報とし、 その記述をもとに階層構造や境界年代などをデータ化・構造化しています。
7. お問い合わせ
本データセットの技術的内容やデータ仕様に関するお問い合わせは、 地質調査総合センター(GSJ LD担当) M-gsj-dataset-ml@aist.go.jp までお願いします。
