「火山重力流シミュレーション」

ウェブアプリ

火砕流や岩屑なだれなどの到達範囲を簡易に計算するシミュレーションアプリです。
https://geospot.sakura.ne.jp/energycone/

概要

このアプリは、産業技術総合研究所から公開されている「火山災害予測システム」のデータを利用します。「火山災害予測システム」は、火砕流や岩屑なだれの到達範囲を簡易に把握することができるシステムですが、高機能な分、スマホなどでの利用には適していません。このため、産総研では計算を簡略化したシミュレーション画像のタイル配信を同時に行うことで、利用する人がタイルデータを利用して好みのビューアを作ることができるようにしています。本アプリは、このタイルデータ(エナジーコーンタイルサービス(試験公開))を利用してスマホのブラウザで簡易にシミュレーション結果を表示できるようにしたものです。

火砕流や岩屑なだれの到達範囲の計算には、エナジーコーンモデルが使われています。これは、崩壊の始まる地点での位置エネルギーを運動エネルギーに変換しながら滑り落ち、摩擦などでエネルギー消費されて最終的にエネルギーが0になって停止すると考えるエナジーラインモデルを、360°全方位に適用したモデルです。

使い方

以下のパラメータを指定してシミュレーションを行います。

  • 崩壊開始地点: (緯度経度)
  • 等価摩擦係数: 崩壊地点と停止地点との間の高度差Hと水平距離Lとの比H/L(計算の範囲:最小値~最大値)
  • 噴煙柱の高さ: 崩壊開始点の地表からの高さ(m)
  1. 位置の選択: 地図を目的の場所へ移動し、計算対象となる地点をタップすると十字マーカーが地図上に置かれ位置が設定されます。十字マーカーは、ドラッグして移動することもできます。
  2. パラメータ設定: アプリ右上の歯車アイコンをタップして設定メニューを表示し、「噴煙柱の高さ」「等価摩擦係数(H/L)」に適切な値を設定します。
  3. 実行: 設定メニューの「更新」をタップすることで、シミュレーション結果が表示されます。

等価摩擦係数(H/L)について:

H/Lの値は、崩壊の規模や性質によって異なり、火砕流では0.3~0.4で、火砕流の規模が大きくなるほどH/Lは小さく(流動性が高く)なる傾向があります(宝田ほか, 1993)。また、通常規模の斜面崩壊ではH/Lは0.5~1程度ですが、火山体の崩壊で発生する岩屑なだれでは0.1~0.2まで小さくなる事例が知られています。

注意点:

このシミュレーションでは、簡易計算のため地形的障害物の影は考慮されていません。

利用上の注意

本アプリは、産業技術総合研究所のG-EVER火山災害予測支援システムで公開されているタイルサービスを利用します。本アプリの利用に際しては、以下のG-EVER火山災害予測支援システムの「利用上の注意」をご確認下さい。

利用上の注意:G-EVER火山災害予測支援システムは,火山噴火災害の軽減を目的として,産業技術総合研究所G-EVER推進チームから提供しております.
このサイトのシミュレーション結果を火山の噴火対策等に用いるに当たっては,専門家の助言を得た上で利用することを強く推奨します.
産業技術総合研究所は,本サイトの閲覧及び利用によって生じたいかなる損害にも責任を負いかねます. あくまでも,利用者の自己責任においてご利用ください

シミュレーションモデルについて

シミュレーションモデルの解説は以下を参照してください。

「エナジーコーンモデルについて」(産業技術総合研究所 G-EVERウェブサイト

○ 参考文献:
宝田晋治・山元孝広・中野 司・村田泰章・風早康平・川辺禎久・阪口圭一・曽屋龍典(1993)雲仙岳1991-92年噴火の火砕流のコンピューターシミュレーション.地質調査所月報,44, 25-54.

G-EVER 火山災害予測システム

産業技術総合研究所G-EVER推進チームから、火山噴火災害の軽減を目的として、火砕流・ 岩屑なだれ等の火山性重力流、降下火山灰の挙動を解析することが可能な以下のシミュレーションシステム、タイルサービスが提供されています。